ハードコア・パンクに出自を持つベイエリアのパワーポップ・ミュージシャン、Tony Molina がニュー・アルバム In The Fade を8/12にリリースする。2018年の前作 Kill The Lights に続くニュー・アルバムとなり、レコーディングエンジニアで長年のコラボレーターであるJack ShirleyとBart Thurberと共にパンデミック下で制作された。Run For Coverのインプリント Summer Shade からリリースされる。
…
Molinaは In the Fade をコンピレーションに例えて、これまでのレコーディングキャリアのあらゆる局面を網羅しながら、タイトで飽きのこないアルバムに仕上げている。「このアルバムで私が心がけていたのは、全曲を通して本当に良いメロディーを作ることだったんだ。どの曲にもしっかりとしたフックがあるようにしたかったんだ」。このフックは、このアルバムのヘビーなギターポップチューンから、より繊細なフォークロックやインディーポップのトラックまで浸透している。本人が言うように、In the Fade は非常に「ポップ」なアルバムである。Ovens のサウンドに回帰した部分もあるが、最近の作品の要素も取り入れ、魅力的な新機軸も導入している。
このアルバムには、聴きやすく、気楽さと一貫性がある。これは、このアルバムの音楽的な幅だけでなく、作曲とレコーディングが行われた時間的スパンを考えると、驚くべきことである。セッションは、Covidの影響で事態が収束し始める数日前の2020年3月に始まり、長い期間にわたってオンとオフを繰り返した。事件が少し落ち着くたびに、長年の友人でレコーディングの達人であるJasper Leachが飛行機を予約して街へ行き、彼らはスタジオに向かった。レコーディングは、Molina が長年一緒に仕事をしているベイエリアのレコーディングエンジニア、Jack ShirleyとBart Thurberがそれぞれのスタジオで行った。セッションは実り多いものだったが、パンデミックの変動が激しいため、セッションの間隔が1年も開いてしまったものもある。セッションの間隔が長いと、モリーナは「このままでは終われないのではないか」と思うこともあった。特に、パンデミック前のベイエリアでは珍しく、誰も乗っていないBARTの電車でスタジオに向かったときは、自分がやっていることが果たして正しいことなのか、疑問に思ったと言う。
幸いなことに、彼らはレコードを完成させることができたし、Molina の最大の目的のひとつである「スタジオで友人たちと楽しむ」ことも達成できた。その楽しさは全編に渡って聴くことができ、彼は友人たちがこのアルバムに多くの貢献をしてくれたことを喜んでいる。オークランドのバンドDawn RidingのSarah Rose Jankoは、MolinaのThe Lost Daysでのバンドメイトでもあり、Molinaのソロアルバムでは初めて、いくつかの曲でボーカルハーモニーを加えている。Leachの参加はこのアルバムの至る所で見られるが、特に “I Don’t Like That He”が顕著である。Molinaはこの曲について、このアルバムの中で「最もインディー・ポップっぽい曲」であり、ベイエリアのインディー・ポップ・レジェンド、The Aislers Setの「Chicago New York」に対するトリビュートであると語っている。「僕はシンプルなアコースティックギターのパートを演奏していたんだけど、Jasperがすごくしっかりしたドラムのテイクを作ってくれて、彼はそれにピアノとオルガンを加えて、曲全体を満たしてくれたんだ…彼はそのソロを加えて、12弦でハーモニーをして、ピアノでそのハーモニーの倍音を出したんだよ」。
このアルバムは、彼の好きなバンドのサウンドを思い起こさせる。Fastbacks、The Flaming Lips、The Muffs。Teenage FanclubのNorman Blakeを思わせるシンプルかつ華麗な”Burn Everyone”は、当時Belle and Sebastianを大量に聴いていたことを示す数曲のひとつだ。もうひとつは”Not Worth Knowing”で、彼は65年のストーンズ・サウンドのヴァースと、メロトロンのカウンターメロディを使った、それまでやったことのないコーラスを望んだのである。
一方、”Years Ago, Pt. 2 “は Abbey Road 時代のThe Beatlesを優雅に歌い、レコードの最後にはTony IommiがBlack Sbbathに提供した優しいアコースティックギターのインストゥルメンタル曲 “Fluff “のカバーで締めくくっている。
Tony Molina の音楽的世界観を1枚のレコードに凝縮することは不可能だろう。Tony Molinaの自宅のステレオからは、1日にThe Move、Malo、Internal Bleeding、Dear Nora、そして The Melvinsが流れているのだ。とはいえ、彼の作品への入口として、In the Fade 以上に適した作品を見つけるのは難しいだろう。このアルバムは、Molinaが「カタログ全体をひとつにまとめてくれるもの」だと言っている。
https://www.runforcoverrecords.com/products/725574-tony-molina-in-the-fade
“Not Worth Knowing”
“I Don’t Like That He”
“The Last Time”
Tony Molina – In The Fade
Listen: Apple Music Spotify Bandcamp
Label: Summer Shade
Release Date: 2022/8/12
Tracklist:
01. Aye Aye My My (Into The Fade)
02. The Last Time
03. Not Worth Knowing
04. Leave This Town
05. Don’t Be Far
06. Song For Friends (Slight Return)
07. Ovens Theme Pt. 4
08. Fuck Off Now
09. I Don’t Like That He
10. All I’ve Known
11. Burn Everyone
12. Four Sided Cell
13. Years Ago Pt. 2
14. Fluff