気になった曲やトピック、「今週の1枚」などをフリーに紹介するウィークリー・レポート。(ほぼ)毎週日曜日に更新予定。
今週はHMLTD、Lankum、Model/Actrizの新曲、フジロック第一弾の発表、Will Epsteinのニュー・アルバムについて。
HMLTD – Wyrmlands
ロンドンの5人組、HMLTDのニュー・アルバムからの先行曲。このバンドの持ち味だったシアトリカルな要素がいよいよ前面に出てきたようなカオティックかつドラマチックな曲構成で、テクニカルな演奏にクワイアコーラスも加わり、かなり凄いことになっている。アルバムには16人編成のストリングス隊を含め総勢47人のミュージシャンが参加しているとの情報もあり、相当濃密なアルバムになってそうです。期待大。
ニュー・アルバム The Worm は4/7にLuckey Numberからリリース予定。
Lankum – Go Dig My Grave
アイルランド/ダブリンのフォーク・グループ、ランカムのニュー・アルバムからの先行曲。トラディショナルなフォーク・ソングを下敷きにしつつ、ノイズやスロウコア、ドローン・ミュージックを思わせるような呪術的でトリッピーなヤバさを感じさせる楽曲。Lowがトラディショナルな・フォークをやったら、、みたいな凄い音圧で圧倒される。
ニュー・アルバム False Lankum はRough Tradeから3/24リリース予定。オリジナルは2曲のみで残りの10曲はアイルランドのトラディショナル・ソングとのこと。要注目です。
Model/Actriz – Amaranth
NYのエクスペリメンタル/ポストパンク・バンド、Model/Actrizのデビュー・アルバムから新たに公開された先行曲。これもまたアルバムのリリースが楽しみなバンドの一曲。ソリッドでカオティックで破壊力抜群。UKポストパンクに比べて音がヘヴィーでハードコア・パンクの影響も感じられるのが新鮮。USからこのタイプのバンドが出てくるのは昨今あまりなかったような気もするし、アルバム出たら一部でかなり盛り上がる気がする。先に公開されていた“Crossing Guard”と“Mosquit” もキレキレでヤバいです。
デビュー・アルバム Dogsbody は2/24にTrue Pantherからリリース予定。
フジロック2023、第一弾ラインナップ発表。
待ってましたのフジロック第一弾。凄いラインナップ。ヨラテンゴにスロウダイヴにアイドルズにリゾにストロークスにティーシャにロミーにスーダン・アーカイブス。ブラック・ミディもいてヤード・アクトもいる。ルイス・コールにノーウォーリーズ。何より去年のアルバムが個人的に大ヒットだったヤーヤーヤーズが観れるのが嬉しいし、第一弾の時点で「観たいの全部観るのは無理だな」と諦めさせられるくらいに豪華なラインナップ。
さっそくYouTubeで出演者のライブ映像をチェックしてたらリゾとアイドルズのライブが素晴らしすぎてこれが苗場で観れるのかと思ったらもう堪らなく楽しみになってしまい、即チケット購入しました。追加のアナウンスも楽しみです。
Will Epstein – Wendy
今週の1枚。
NYのシンガーソングライター/マルチ奏者、ウィル・エプスタインの3rdアルバム。先行曲の”Suddenly Rain”を聴いた時に、その手作業の温もりが感じられる質感や徐々に音数を増やしていく築的な構成、レトロとモダン、モノクロームとカラフルがないまぜになった神秘的な世界観に驚き、リリースを楽しみにしていたのだが、とてもよかった。
この作品に対して評価の芳しくなかったPitchfork(6.7)では、「細かなアレンジにソングライティングが対応しきれてない」みたいなことが書かれているのだが、まあ分からなくはなくて、ソングライティングという面においては、アルバムを通して”Suddenly Rain’に優る感動を与えてくれる曲は正直に言ってなかったかもしれない。
それでもアルバムを通して聴こえてくる彩り豊かなアレンジや薄暗い地下室で演奏しているような雰囲気のある音のテクスチャーは「ソングライティングの退屈さ」を補って余りあるほど魅力的。(音楽性ではなく喚起されるイメージとして)その昔、ヴェルヴェッツのアルバムを初めて聴いた時に感じたような空気、上手い言い方が見つからないが、「別の世界の空気」のようなものを感じさせてくれる。
後から知ったことだけど、彼がニコラス・ジャーの長年のコラボレーターという経歴を持ってるのもまた興味深く、シンガーソングライターのアルバムとしては凝りすぎな音やアレンジも、ジャーの近くにいるミュージシャンの作品だと思うと腑に落ちるような気もした。
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