【Feature】Trace Mountains: A Brief Biography

Trace Mountainsは、解散したインディー・ロックバンド LVL UPのメンバーであり、ブルックリンのレーベル Double Double Whammyの創設者で元共同オーナーという経歴を持つミュージシャン Dave Bentonによるバンド・プロジェクトである。2018年に1stアルバム A Partner to Lean On でデビューし、2020年に2ndアルバム Lost in the Country をリリース。10/22には早くも3rdアルバム HOUSE OF CONFUSION をリリースする彼の経歴を以下にまとめた。

LVL Up (2011~2018)

Dave Bentonは、2011年、共にニューヨーク州立大学パーチェス校(SUNY)の学生であったMike Caridiとローファイなインディー・ロック・バンド LVL UPを結成してキャリアをスタートする。バンドは、ドラマーのBen Smith、ベーシストのNick Corbo (現在はSpirit Wasというプロジェクトで活動。10/22に1stアルバムをリリースする)を加えたカルテットで、SebadohやBuilt to Spillといったグランジ〜ローファイなロック・バンドからの影響を受けたサウンドを軸に3枚のアルバムと2枚のEPをリリースした。2016年の Return to Love は名門 Sub Popからリリースされたが、2018年9月のライブでバンドは解散。Daveと共にバンドを立ち上げたMikeは解散を決断したときの状況について次のように語っている。「Return to Love が発売されたとき、私たちは一生懸命ツアーをして、だいぶ燃え尽きてしまったので、1年ほど演奏していませんでした。本当はやりたくないのに、無理やりやらされているようなことをたくさんしました。それが終わった後、私たちは “ちょっとクールダウンしよう”と思ったんです。何人かの人は別のプロジェクトに取り組み始め、Double Double Whammyは私のフルタイムの仕事になっていました。バンドの終了は正しいことだったと思います」(1)。

Double Double Whammy

2011年、Dave BentonとMike CaridiがLVL UPの結成と同時にスタートさせたレーベルがDouble Double Whammy だ。DDWは、MergeやK Recordsに触発され、自身のバンドやNYのローカルバンドのカセットテープをリリースすることを目的として創設された。DaveやMikeと同じくSUNYの卒業生であったMitskiの Bury Me Make Out Creek (2014)の他、Hovvdy、Frankie Cosmos、Hatchie、Floristといったバンドやシンガーソングライターのリリースを行ってきたDDWのカタログは、「破壊的なディテールを静かな力で表現することに長けており、ここ数年のインディー・ロック/ポップスのサウンドを変えてきた」(1)と称されている。2016年にDaveはレーベルを去ることとなるが、Mikeと2018年からレーベルに参加したMallory Hawkinsによって運営されるDDWは2021年に創立10周年を迎え、周年を記念したコンピレーションのリリースが予定されている。

A Partner to Lean On (2018) ~ Lost in the Country (2020)

A Partner to Lean On (2018)
Lost in the Country (2020)

Dave Bentonは、2016年の秋にDDWから身を引き、Trace Mountainsとしての初のソロ・フルレングスのリリースに向けて静かに取り組んでいた。2018年3月には、Trace Mountainsとしてデビュー・アルバム A Partner to Lean On を自身のレーベルFigure 2からリリースする。同年のツアーでLVL UPは解散し、Daveは、ニューヨークのハドソン・バレーの小都市であるキングストンへ移住した。2020年4月にLame-Oからリリースされた2ndアルバム Lost in the Countryは、こうした移行期にDaveがより自身の内面に向き合って作曲された楽曲を集めた作品集だ。「自分のことを歌った曲も、そうでない曲もたくさん書いていますが、このアルバムでは、どちらにしても焦点は内側に向けられています」(5)とDaveが語る Lost in the Country は、LVL UPで磨きをかけたクランチーなギターサウンドと牧歌的な雰囲気を持つ A Partner to Lean On に比べ、より滋味深さが増した暖かみのあるバンド・サウンドを持つ作品となり、Pitchforkでは8.0の高評価を獲得した (6)。

HOUSE OF CONFUSION (2021)

HOUSE OF CONFUSION (2021)

Lost in the Country のリリース後、世界的なパンデミックは加速し、リリース後のツアーも中止が余儀なくされた。Daveは職も失ったが、他の多くのミュージシャンと同様に、新たに手に入れた時間で早朝から楽器の練習と曲作りに専念していた。フィンガースタイルのピッキング・パターンを追求し、曲作りに反映させていった。「私は心の中で旅をしていました。ミュージシャンとしての人生を振り返り、成功や失敗を考え、私の人生を構成している、常に続く前進のプロセスを振り返っていました」(7)。こうした環境的、内面的な状況下で HOUES OF CONFUSION は、Dave の音楽に対するビジョンにとって不可欠な存在である親しい友人たちとの共同作業によって制作された。アルバムには、Jim Hill(ギター、鍵盤)、Greg Rutkin(ドラム)、Susannah Cutler(声、メロトロン)の主要メンバーに加え、新たにBernard Casserly(ベース)、J.R. Bohannon(ペダル・スティール、ギター)、David Grimaldi(ギター:トラック4、5)、Ryan Jewell(ドラム、マリンバ:トラック4)が参加。Lost in the Country リリース時のインタビューで「これは間違いなく僕らのレコードで、彼らなしでは作れませんでした」(5)とバンドについて語っていたが、本作のステイトメントにおいても「私のバンドは必要不可欠な存在であり、これまでもそうでした。私が言葉や曲の骨組みを書くことはよく知られていますが、彼らは曲に命を吹き込み、歌わせてくれるのです」(7)と語っており、Dave Bentonによるソロ・プロジェクトとしてスタートしたTrace Mountainsが確固たる信頼関係を着実に築いたバンドの音楽になりつつあることを示唆している。

Discography

LVL UP

Studio albums

EPs

Splits

  • LVL UP / Porches 7″ (2013)
  • LVL UP / Krill / Ovlov / Radiator Hospital 7″ (2014)

Trace Mountains

Studio albums

Singles

参考サイト

  1. The End of LVL UP and the Future of Double Double Whammy | Pitchfork
  2. LVL UP’s Retirement Is Also a New Beginning for Dave Benton – Ad Hoc
  3. Interview: Trace Mountains – Secret Meeting
  4. Trace Mountains Discuss Getting Older, Following Instincts, and New Album “Lost In The Country” | Feature Interview — POST-TRASH
  5. Trace Mountains – Grandstand Media
  6. Trace Mountains: Lost in the Country Album Review | Pitchfork
  7. Lame-O Records – Trace Mountains – HOUSE OF CONFUSION